『WHITE ALBUM2』(Leaf)感想

オフィシャルサイト:Leaf(リーフ)


主人公とメインヒロイン2人の高校生時代を描いたプロローグで、
後日発売予定のClosing Chapterに対する前編に当たります。


前半は学祭に向けて結成したバンドで育まれる3人の友情を、
後半は恋愛感情が挟まることで3人組のバランスが壊れゆく様が描かれています。


原作者が関わっていない2なのでちょっと不安ではあったのですが、そこは減点法では評価の高い丸戸史明
主人公達のバンド結成の切っ掛けに「10年前に森川由綺が歌った「White Album」」を持ってきて
前作をプレイしてるプレイヤーに当時を想い起こさせたり、
理奈がアメリカで活躍してることが小ネタで出てきたり、
挙句の果てには「ここがあの女のハウスね」なんて小ネタを仕込んだり随所に前作リスペクトが見え隠れしてます。


またシナリオ面以外にも楽曲が流用されており、
「あの頃のように」「WINTER VACATION」「聖夜」「FILL YOU」辺り作中で聴いて
「これ前作のだよね?」と思ったら案の定。
そして「WHITE ALBUM」「SOUND OF DESTINY」「POWDER SNOW」といった歌モノも
主人公が練習しているという設定でインストVerがBGMとして扱われているんですが、
そのシーンの心情と歌のイメージがマッチしていて良い使われ方でした。


そして前作と違うところは恋愛関係のもつれが主人公のせいとは言い切れないこと。
3人がそれぞれの思惑で動いた結果、色々掛け違ったせいで最悪の展開になってしまう。
それがわかるのは俯瞰的に見られるプレイヤーのみってのが歯がゆいけれど面白いです。


さらに1周目を終えた後に
初回同梱の小説を読むことで「かずさが何故春希に引かれていたのか」が、
2周目の追加シーンで「雪菜がなぜ焦って告白をしたのか」がわかる。
こういうプレイヤーを楽しませてくれるようなギミックを仕込んでくれるのはGood。


逆にダメだった点はなかむらたけしのイラストの崩れっぷり。
フェアリーテールの頃から見てきてますが、今作のはフォローのしようもないくらいヒドい。
特にかずさの泣き顔とか雪菜のキスシーンとか目も当てられなかったです。
盛り上がるシーンなだけにイラストにも力を入れて欲しかったんですけどねぇ……
Leafとしては外注原画家使うことも多いんですから、
イラストは外部に任せてディレクションに専念した方が良いんじゃないでしょうか。


あと音楽とテキスト表示の同期を取るために頻繁に強制オートモードにされるのがちょっと苦痛。
ギターの演奏にピアノで割り込んでくる様子とか、演出で表したいのはわかるんですが、
先に読み終えた結果、長い時間演出待ちをしないといけないとストレス溜まるんですよね。
この手の演出は一番盛り上がる所でのみ使うほうがストレスが溜まらなくていいんじゃないかな。


以上、総括するとシナリオと音楽は満足、イラストと演出は微妙でした。
ちまたでは有料体験版とか言われてるようですが、前編としては十分だったんじゃないでしょうか。
これで早いうちに後編が出れば良いんですが、かなり待たせてこのイベントグラフィックの量だと
今年の冬も厳しいんでしょうかねー?